第91章 出発の朝
今更、本当に今更なのだが一緒に生活している事を強く実感しつつリビングに消えた彼を盗み見ると彼はTシャツを脱ぎ捨ててストレッチをしていた
(うおおおおおおおっ………!!!!)
………心臓発作で死ぬかと思った………
思いもよらないタイミングでの裸は止めて欲しい
即座に鏡に視線を戻すが
………………気になる……………!!!
鼻血覚悟でチラ見する
視界に映ったのは配慮からか背中を向けてストレッチに勤しむ彼の逞しい筋肉
私の体温は一気に上がった
いつも私が起床する前にトレーニング等を済ませているという彼の気遣いに心底感謝する
彼の気遣いが無ければ私は早々に出血多量、もしくは心不全でこの世を去っている自信しか無い……
黙々とトレーニングに勤しむ彼を思い切り意識しながら髪をセットし終えて着替えを済ます
洗面所の扉を開くとまだ見事な筋肉を露にしている彼の姿におずおずとリビングへ足を進めると彼は其れに気付き実に素早くTシャツを着た後に交代で洗面所へと消えた
ずっと俯いていた私だが擦れ違う瞬間に彼を盗み見ると彼も此方を見ながら緩く頭を掻いていて
すっかり目覚めた大きな瞳で捉えられ途端に弾む胸に固まってしまった
彼が洗面所へ消えて暫く経ってもぼーっと突っ立っていた私は熱の籠った溜息と共に座椅子に沈んだ
この先の旅行………私の心臓がもつか心配だ…………
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関西国際空港にて待ち合わせな為タクシーを呼んで乗り込む
走り出した車窓からアパートが遠く流れて行き旅行の始まりを感じた