第89章 バーカウンター
残された私達はきゃーきゃー騒ぎながら純粋に楽しんだ
他のアニメキャラクターも実物にするとこんなにも美形なのか!等のアニメ話しから雑談迄
おつまみを追加注文して随分沢山のカクテルを飲んだ
来店から四時間が経過して程好くアルコールが回った頃母が御手洗いに席を立ったのと入れ代わりに彼は再びカウンターに帰って来た
「沙夜子は瑞穂ちゃん似なんだね♥️」
「あーよく言われます」
「イルミは此所に居る事知ってるの?」
「はい、お迎えにも来てくれるみたいです」
「そう……それは随分愛されてるんだね、沙夜子も彼を好きなんだろう?気持ちは伝えないの?♦️」
「………!!!!……伝えませんよ……どうせ離ればなれになるし……」
「一緒に成れる方法が在るとしたら……伝えるのかい?♦️」
「え……」
彼の言葉に動揺して気持ちが揺れる
そんな方法が存在する訳が……
彼は口元を歪ませて瞳を細めるとカウンター越しに耳元へ唇を寄せて
「沙夜子がボク達の世界に来れば良いんだよ。ボク達を此方に飛ばした能力者は元々沙夜子の世界の住民だろ♦️」
と言葉を落とした
私の頭は真っ白になった
戻って来た母にたっぷりマジックショーを見せている彼を横目に
そんな事が可能なら………しかし此方の世界を捨てられない………でももしも………なんて何時までも考えていた
「何時でも会いにきてね♥️」
出入口迄私達を見送りに来た彼は
トランプを模した名刺に唇を落とすとわざとらしくリップ音を鳴らして母に其れを手渡した
そして私にウインクをすると
「良いニュースを待ってるよ♦️」
と舌舐めずりをして店内に戻って行った