第10章 動物園へ行きましょう
「………っ!!……イルミさんっ………あの………!」
身体中が一瞬で熱くなり声も裏返る
「沙夜子が子供みたいにはしゃぐから、転ばない様にね」
「あ……!あはははは…!成る程成る程!」
(ドッキドキしたぁ~ッ!!!!!成る程、私がアホみたいにはしゃいだから長男気質が騒いだんですね…………ッ幸せッ………ありがとうございます…………………………………………緊張し過ぎて目の前のシロクマがただの白い物に見える………)
イルミさん……普通に手暖かい、なんて考えながら何も言えずにただ直立して白熊を凝視した
しかしやはり大好きな動物を前に浮かれてしまうのも確かで、いつまでも意識していても仕方ないと身体に籠った熱を逃がす様に彼を引っ張り歩いた
_________"
人とは順応する生き物で自然と彼と手を繋いでいるのが平気になった。寧ろ幸せを噛み締めようと思った
驚いたのは一部自然の中に動物がいる様に見えるエリアがあり、あべのハ◯カスとキリンが並んで見えたりした
私は可愛いを連呼しつつ沢山の写メを撮る
(イルミさんとの写真欲しいな……)
元の世界ではきっと写真にも高額の懸賞金が付いているだろう……しかし……欲しい……
だって、たった一年しか傍に居られないのだから
只でさえ幻の様にいきなり現れた存在なのだ
傍に居た確かな証が欲しい
「イルミさん!一緒に写メ撮りません?」
「………」
少し眉を潜めた彼を見て快く撮らせてはくれないだろうとすぐに解った