第89章 バーカウンター
9月のある夜
私は母と夜の街に繰り出していた
きっかけとしては何気無い会話で
沖縄旅行に行く際母に親方の面倒を頼んだ所、誰と行くのか尋ねられ
私は素直にイルミさん、ヒソカさん、クロロさんと旅行に行く事実を伝えた
「ちょっと待って……ヒソカとクロロも来てるの?!?!」
と、母が成るのも至極当然で
私は母に彼等も此方に居るという事事態を伝えていなかった事実にその時気付いた
私の家族は一家揃ってアニメ好きなのだが
母はHUNTER×HUNTERにおいてヒソカさんが大好きだった事もあり
それならばとマジックバーへ出向く事になった
(二人きりじゃないし言い付け破って無いもんな………)
普段より気合いの入った格好をしてしまうのは特別な感情は無くともかなりの美形を前に何となくみすぼらしい所は見せたくないという気持ちからで
そんな私の変化に気付いたのか彼は身支度を終えた私をじっと見ていた
「何処行くの?お母さんとだよね」
「はい!………えっと………」
目的地ははっきりしているが、マジックバーだとは言い辛い
しかし濁した後にバレた方が疚しい気がして私は小さく答えた
「ヒソカさんのマジックバー……です」
「ふーん」
彼は声色こそ通常通りだが随分と冷たい表情を浮かべた
彼が内心何を思ったのか気になって仕方がない
仮にも彼に想いを寄せているのだ、嫌われたくない、呆れられたくない……と思ってしまうのは当たり前なのだが
そんな思いが溢れる最中にも約束の時間は迫る