第87章 何でもない日曜日
特段変わった様子は無いが彼を見遣ると彼の横目と目が合った
「沙夜子は少し痩せたね」
「え、解ります!?そうなんですよー」
まさか私の体重の変化に彼が気付いていようとは思わなかった
実の所彼と生活を共にするという事はかなりの刺激になっており
見られている、という意識から5キロ程自然と落ちたのだ
「沙夜子は今以上痩せちゃ駄目だよ」
「え、なんでですか」
「前で程好かったから」
「そうですか…………あはは……」
彼が何処を見てそう思ったのか解らないが何処か気恥ずかしく視線を反らした
その後夕飯を済ませた私達は再び漫画を読み耽り布団に入った
私は何もしていないからか寝付けず寝返りを繰り返し暗闇の中彼の横顔を眺める
瞼を閉じた彼は規則正しく呼吸を繰り返す
……もう眠ってしまっただろうか
「イルミさん………」
私の静かな呟きに彼はゆっくりと瞼を開いた
「何」
「別に何も………」
「眠れないの?」
「………はい」
「仕方ないな」
彼はごそごそと物音を立てながら私に近付くと何時かの様に優しく頭を撫でた
「おやすみ」
「おやすみなさい」
彼の大きな手のひらの温もりをしっかりと感じながら私は先程迄の寝心地の悪さが嘘の様に夢に落ちた
何だかとても良い夢を見た気がする