第87章 何でもない日曜日
彼は漫画に集中していた様でジュージューとハンバーグの焼ける音が鳴る頃に気付いた様にキッチンへやって来た
「今日の夕飯何」
なんて聞きながらフライパンを覗く彼は可愛い
「ハンバーグですよ!」
「ハンバーグ……」
キラリと輝いた瞳で私の隣からフライパンを見守る
十分に焼けたハンバーグを皿に乗せてフライパンに残った肉汁でタレを作って掛ければ完全だ
「はい、出来上がり!」
「お腹空いた」
「もうちょっとですよー!」
完成した皿を自らちゃぶ台に運んで漏らした彼の声は単調ながら私をキュン死にさせる響きがある
サラダとコンソメスープを善そって運べば彼はじっと私を待っていた
「いただきます」
「いただきます!」
上品に一口頬張った彼
「美味しい」
の一言に胸が綻ぶのが解った
彼の分のハンバーグは大きめに作り二つ皿に善そったのだがこの分だとペロリと食べてしまうだろう
なんて考えていると彼はご飯を二杯おかわりした
「………イルミさんって太らないですよね…」
「肥満遺伝子はあるだろうけどね。ミルキはデブだし」
「あー確かに…………え、イルミさん………太ったら嫌ですよ………そのスレンダーかつ大胆な筋肉にそのお顔!!!それでこそその長髪も美しいイルミさんなんですから!!!あ、見くびらないでくださいね。内面も可愛くて素敵ですよ」
「………太らないよ」
「そうですよね!私も頑張りますんで!!」
急に熱を持ち出した私に彼は若干引いている様だが本当に彼の魅力はミステリアスなあの風貌にあると思うのだ今なら内面も好きだと言えるがアニメキャラクターとしてならそれは綺麗事になる
ミルキと彼は目元や色白さ、黒髪等似ている部分が多分に在る分彼が肥満化した姿が想像出来るのだがその風貌でヒソカさんと並ぶと引き立て役にしかならないだろう
「………イルミさんこっち来てちょっとでも太ってませんか?」
「うん。変わらないよ」