第87章 何でもない日曜日
身支度を整えるが、髪型は簡単に直らずそのまま彼に近寄り図鑑を覗くと彼が指差していたのはトイプードルだった
「そんな良い物じゃないですけどね」
「こんなもんだよ」
「いやぁ…こんな可愛くない」
「可愛いよ」
「………ありがとうございます」
彼の感性は理解出来ないが、この寝癖が彼には随分素敵に見えている様だ
私はさらりと投げられた台詞に瞬時に赤面し、逃げる様に背を向けた
嬉しくてニヤニヤした顔をそのままにキッチンに立つ
昨夜の残り物にプラスして野菜炒めを作りちゃぶ台に並べるとテレビからはワン○ースの録画が流れていた
アニメキャラクターだと思っていた彼は異次元の住民だったのだが実の所、此方に来てから私の本棚にある漫画はHUNTER×HUNTER以外殆ど読破していて、その中でも彼のお気に入りに成ったのはワン○ースだった
アニメが放送されているのを知った時の彼を思い出す
彼はワン○ースのオープニングが流れ出した途端に立ち上がりフリーズしていた
その姿は無表情ながら子供の様にあどけなく思った
テレビの前から動かなくなった彼は夢中で最後まで見届け
私に、毎週放送しているのか、とにじり寄ったのだった
昼食を食べながらアニメ観賞とはなかなか私好みの休日だ
この分だと彼はミルキの趣味も理解出来るのでは?とぼんやり思う
「イルミさんはワン○ースのキャラクターで誰が好きですか?」