第85章 夏の終わりの彼と私
「えーっと…………例えばですけどイルミさんって連呼したりとか……?」
「それって失礼なの?」
「………質問を変えます…………ウザい絡みはありましたか………?」
失礼とは一体……という謎の宇宙に迷い込む前に他の事からしらみ潰しに質問する方向に変換する
「絡み……そうだな……」
今まで事も無さ気に箸を進めていた彼の動きが止まり嫌な汗をかいた
「髪を三つ編みにしてきた後に笑い転げてたよ」
「えっ!!!」
驚愕すると同時に有り得すぎる行動に疑いの余地も無い
私は前々から彼の髪をアレンジしてみたいと好奇心を抱いていたのだ
それが酔った弾みで出てしまっても不思議じゃない………しかし笑い転げるとは………めちゃくちゃ失礼では無いか………!!!
「ほんまにすみません!!!!」
私は即座に茶碗と箸を置き彼に頭を下げた
「別に。頭上げなよ」
頭上から降る声色から怒りには触れていない様だ………彼が寛大で良かった………
そして、恐るべし………自分………
この分だとまだまだ何か出て来そうで目眩がする……
「あの………他には何もありませんでしたか……?」
「………無いよ」
味噌汁に口を付けて答えた彼の口調からまだまだ何かやらかしている事は明らかなのだが教えて貰えそうに無い雰囲気を含ませた彼からはこれ以上聞き出すのは難しそうだった
私は再び謝罪と共に頭を下げて食事を再開した
泥酔迷惑行為もかなり気になるがやはり思考を巡るのはやたらと艶かしかった感覚
思い出すだけで耳元がじわりと熱くなった
(……………夢?…………現実………?)
そんな事を聞き出す勇気も無いままに私達は食事を終えた
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「ねぇ」
「はい?」
録画していたテレビ番組を見ていると突然
「髪、括ってみる?」
何故か突拍子も無く提案を受けて固まった