第84章 熱い身体とかき氷
彼の指先が焦らす様にブラのレースをやんわりなぞる感覚が伝わり固く瞼を閉じる
規則正しい彼の呼吸を首筋に感じしっとりとした水音と共に触れる甘い刺激に彼の舌に舐め上げられている事を理解する
首筋を伝い耳元に迫った水音は淫靡に響き、私の脳は麻痺を起こした様に思考が回らずふつふつと沸き上がる快楽に開いた唇は短い息を漏らした
途端に止まる彼の動き
きっと私が目を覚ました事に気付いたのだろう
(…………何…………何で…………イルミさん……どうしたの………?)
私は安堵した様に深く呼吸を繰り返したのだが
考えは甘く彼は先程よりも確実に意思を持ち指先を動かし始めた
「っ………」
谷間をなぞる様に辿っていた指先は下衣越しに胸をやんわりと覆い形を確かめる様に込められた力は優しく彼の身体も熱を帯びている事が伝わった
耳元に吹き掛けられた息は熱く
緩く唇に挟まれた耳朶に舌が絡み卑猥に吸い付かれて肩が震える
「っ……イルミ……さん……寝ぼけて……ます……?」
思わず漏れた震える声は静かな部屋に響いた
途端に彼の熱い腕は離れて行く
随分荒くなった息を漏らす私はやっとの思いで瞼を開いたのだが
直ぐに彼の大きな手によって覆われ視界を奪われてしまった
未だ回らぬ頭を必死に働かそうとしていた私だが
声を発っそうと口を開くより早く
「………沙夜子、まだ目覚めるには早いよ。……ゆっくりおやすみ」
彼の穏やかな声が身体中に染み渡る様に響いて
私は結局言葉を溢す事無く彼の温もりに抱かれたまま夢に落ちたのだった