第84章 熱い身体とかき氷
(何その表情!!!黒猫さんですか!!!可愛いよイルミんっ!!)
暫く一人静かに悶えていた私だが
「……………ねぇ、人混みでは絶対手を繋ぐ事にしない?」
脳内で荒ぶる私とは裏腹に淡々とした呟きが溢れて一瞬戸惑った
"絶対に"という強制感のある言葉に片想いの身として喜ぶべきなのかどうか大いに悩んだ
しかし、先程の様な事が起きる度に彼を制止するのは大変な労力だ
彼の物騒な台詞も気になる上に次は腕くらい折ってしまうかもしれない………
私は複雑に思考を巡らせながらも純粋に彼に思われている喜びに目を向けた
「はい!繋ぎましょう!」
彼を見遣ろうとすると
反射したガラス越しに彼は私の様子を伺っていた様でその視線に気付く
これじゃあ彼の横顔を眺めてニヤニヤしていたのはバレバレである………
ニコニコと答えた私だが
ガラス越しの彼は何の反応も示さず反応を伺う様に手を振ってみる
彼は私を真似る様に手を振り返してくれた
ガラス越しながらその様子が可愛くて笑ってしまった私に彼は優しく微笑んだ
瞬間ドキドキと高鳴る胸
彼と出会ってから私は不整脈にでもなってしまいそうだ
ほんの一瞬の出来事で元の無表情に戻った彼の横顔を盗み見ながら私達は会話を交わす事無くかき氷を待った
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暫くしてやって来たかき氷
彼はじっと眺めた後にゆっくりとした所作でスプーンを持つ
未知の物に対峙している彼の様子を伺ってしまうのはその様子が可愛らし過ぎるので致し方無いと思う