第84章 熱い身体とかき氷
その後私達はしっかりと腕を組んだまま歩いた
まるで私を庇い、守る様にゆっくりと歩幅を合わせる彼は素敵なナイトだ
お陰で人混みの中でも肩がぶつかったりなんて事は無く実にスムーズに目的地に到着した
満席の店内に待ち時間を予想したがすんなり二階に通され
二階フロアも沢山の人で混み合っているが何とかカウンター席に着く事が出来た
韓国に店舗を構える「雪のはな」ネットで調べた結果、私の主観で想像する"ふわふわかき氷"に近い物を感じて近場にも店舗がある事を知り、此所に決めたのだが果たしてどうだろうか……
メニュー表にはスイーツやパスタセット等様々な物が並ぶ中、色鮮やかなかき氷が並ぶページを開いた
優柔不断に悩む私とは裏腹に彼は即決でコーヒー小豆雪を選んだ
私は悩みに悩んでオレオチョコ雪に後ろ髪引かれながらも人気No,1のきなこ雪を注文した
「やっぱり流石の人気ですね!」
「雑誌に掲載されていたからかな」
雑誌に掲載されていたのは別のかき氷店の物だったのだが彼はあの時雑誌で見付けた物と同じだと思っている様で瞳をクリクリさせながら呟いた
男を捻り上げた時とはまるで別人の様に幼い表情を浮かべて誰に向けるでも無く僅かに傾げた首が悩殺的に可愛い。
緩む頬をそのままに彼を見詰めていると彼は大きな瞳で窓ガラスの外を流れる人波をじっと眺めていた
彼が何かをじっと眺める仕草は何処か動物的な愛くるしさが在り、瞳の印象からか猫を思わせて脳内は荒ぶる