第82章 天袋から広がる話
「嫌」
即答で返ってきた言葉は想像通りだったが、オタク魂に火が付いた私はそんな事では決してめげない
「えー!イルミさんのコスプレ姿見るために今日迄生きてきたみたいなもんやのに!」
「沙夜子の人生って下らないね」
「放っといてください!とにかくイルミさんにはコスプレしてもらいますからね!」
「………他に楽しい事が無いなんて……惨めになったりしない?」
「さっきから心臓にグサっときます。やめてください………。」
「………」
「………」
確実にダウンを狙った精神的攻撃を受けた私だが引き下がっては居ない………図鑑が見付かった後にもう一度交渉しようと固く決意する
天袋は高く奥行きが在る
奥までは見えないが精一杯背伸びして腕を伸ばすと紙袋に触れたので引っ張り出そうとするとずっしり重たくお目当ての物を見付けたかもしれない
しかし、はたと気が付いた
(………私じゃ降ろされへんくない……?)
かなりの冊数がある上に重たくなった袋は爪先立ちの私が降ろすには心許ない
そもそもを考えると引っ越し作業の際は長身の弟が天袋へ荷物を積めてくれたので私の力では到底運び出せない物迄詰まっているのだ
「……あの……イルミさ「退いて」
私の様子を観察していた彼は状況を理解してくれたのか自らパイプ椅子に近寄って来てくれていた
苦笑いしつつ椅子を降り様としたその時
「!?」