第82章 天袋から広がる話
私は衣装が床に落ちるなり熟練主婦の様な手際の良さで袋へ仕舞い込む
彼に図鑑をプレゼントしたいだけだった筈が何故こんなにも顔を暑くさせなければならないのか………
そんな私を眺める彼は私の全身が恥ずかしさで一杯なのを知ってか知らずか
何故そんな衣装を持っているのか、ハロウィンとは何なのか頻りに質問してくるので
私は次々飛んで来る質問に答えながら袋をそっと端に置いた
「とにかく、プレゼント探します。私のお古で悪いですけど……」
再びパイプ椅子に上がりお目当ての物を探す私の背中に
「ハロウィン……沙夜子はまたコスプレするの?」
再び質問が飛んで来た
………する筈が無い。若気の至りで出来ていただけの事だ
今更気恥ずかしくて出来る筈が無い。
しかし………彼のコスプレ姿は是が非でも見てみたいと思うのは私だけだろうか。……否。どれだけ居るのかはっきりとは解らないが絶対的に存在する全国のイルミさんファンはきっと拝みたい筈だ
「いいえ。イルミさんだけコスプレします」
私は言い切った
私の夢の為に………そして私の生きる糧の為に…………彼のコスプレ姿は私に強い希望を抱かせる光りなのだ