第82章 天袋から広がる話
ギシリとパイプ椅子を鳴らして立ち上がる
天袋には滅多に使わない色々な物を詰め込んでいて引っ越して来てから数回開いただけだ
正直何が収納してあったかも思い出せない
襖をそっと開くと、途端に落ちて来たのは何かが入った大きな袋だった
床に落ちた衝撃音を聞く限り然程重たい物では無い様だ
「……これ?」
なんて言いながら袋の中身を確認する彼を眺めつつ
中身は何だっただろうかと考える
やましい物は勿論無いが私を差し置いて中を覗いてしまう辺り彼らしい……
私もつられる様に地面に降りると
10代の頃にハロウィンの夜限定でコスプレしていた頃のバニーガール衣装を広げた彼と目が合った
彼の足元に広がっているのは一緒に仕舞っていた小悪魔の衣装で転がり出たウサ耳が痛々しい……
「………」
「………」
決してやましい物では無い……しかし何故だろう……私達の間に流れる無言が妙に心地悪く変な汗が額に浮かぶ