第81章 サスペンスは突然に
「……?」
どれくらいの時間が経ったのか本降りに成った雨が地面を叩く音が聞こえる
「気が付いた?」
「!…はい」
驚きつつもおずおずと返事を返すと彼は気まずそうに視線を外してポリポリと頬を掻いた
直ぐに思い出される先程の出来事
私は緩く抱かれていた腕から立ち上がり直ぐ近くでサザエを焼くオジサンに歩み寄った
「あの……!私「ごめんごめん!」
「?!」
誤解を生む様な私の言動に原因があったのだと謝罪と説明を口に出そうとしたのだが
即座に頭を下げたオジサンにつられて私も頭を下げてしまった
どうやら私の知らぬ間に何がどうなったかは知らないが誤解は解けていた様でお詫びにサザエを頂き和気藹々と喋ったりした
帰りの車内
運転中の彼を盗み見る
彼はオジサンに私が身投げすると聞いた時酷く動揺した様子だった
整った横顔は感情を映さずただ前を見据えている
(イルミさん…………あの時……何を思ったんですか?)
窓を打つ雨音を聞きながら私はただ彼を見詰めていた