第80章 吹く風は夏の色
昨夜は彼の手料理に五臓六腑が震え上がる思いをした私だったが……無事生きている。
何処から取り出したのか、強い日射しにサングラスをかけて運転する彼の姿は真夏の太陽よりも眩しくその美形っぷりに当てられてノックアウト寸前だ
見事な迄にサラサラの長髪はラフに後ろに纏められ、それ故に中性的な彼のしっかりと浮き出た喉仏が首筋をよりセクシーにしている
黒目がちな瞳が印象的な彼だがサングラスにより隠れる事で高い鼻筋や薄く色を付ける唇が際立ち普段の無機質さから離れた妖艶さを醸し出していた
(………………イルミんの魅力が留まる所を知らん………まだまだ広がりますね。何しても似合いますね……。なんでそんなに美形なの………ゾルディックの血に感謝……………色々コスプレさせたりしたいなぁ…俄然ハロウィーンが楽しみですねッ!!!!!!!!!)
次から次に膨らむ妄想を広げつつ再び彼を見遣るとサングラス越しの視線とぶつかった
リラックスしているのか緩く開いた瞳は鋭くも威圧を感じさせずドキリと高鳴る私の胸の内を見透かされている様な感覚に陥る
運転中の為に直ぐに外された視線を他所に騒ぎ続ける心臓は暫く治まる事無く真っ赤に染まった頬を隠す様に俯くしか無かった