第79章 鳥が一羽
8月15日
アラームが鳴ら無い目覚めに長い欠伸を漏らす
日は高く昼過ぎを知らせる様にカーテン越しの優しい光に緩く影が伸びた
やはり自分の布団という物は一番落ち着くとは本当の様でしっかりと睡眠を取った私は眠り過ぎて逆に重く感じる身体を起こす
楽しかった家族旅行も終わり残る休みは今日と明日
何をしようかと思考を巡らせながら隣を見遣ると彼はまだまだ夢の中の様で規則正しい寝息が静かに聞こえて緩む頬をそのままに静かにスマホのシャッターを切った
着々と増える"イルミさんフォルダ"
彼は珍しくお寝坊さんで昼の13時を過ぎても目覚める気配は無かった
本当に気を抜いてくれている姿をしっかり隣に感じながら嬉しく思う
びくともせず眠る彼は長い睫毛に影を引き形の良い唇がやんわりと開いていて
……何て美しいのだろうか………
触れたい衝動を抑えて布団から出ずに彼をただ眺めていると
うーんっと伸びをした彼の動きに咄嗟に眠っているふりをしてしまう
上体を起こした気配を感じつつも未だ布団から微動だにしないのは単純にタイミングが見出だせなかったというやつで
何となく寝たふりをしてしまったからこそ起き辛い……という感じだ