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ここは私の部屋です【HUNTER×HUNTER】

第78章 家族と私と彼





列に並んで15分程経った頃だろうか私達の番が来た
鎖に繋がれ飼育員さんに寄り添われたトラは近寄ると思いの外大きく緊張感が背中を伝う

せっかくだからカップルツーショットをと勧めてくれた母の言葉にゆっくりと足を進めた彼
私は憧れの猛獣と触れ合える喜びと緊張で背筋が伸びる中ジャラりと鳴った鎖の音に疑問を感じてトラを見遣ればお腹を出してごろりと転がっていた



「?!」


先程迄威風堂々と佇んでいたトラに一体何があったのか…………
肉食獣がお腹を見せるのは降伏の証だった筈………
彼が着席した際にフッと笑顔を溢したのを横目に捉えて嫌な汗をかいた


引き吊った笑顔のままの私はトラと彼と撮影を無事終えた


私は小声で彼に声を掛ける


「………イルミさんトラに何しました………」


「随分生意気な目をしてたからちょっと睨んだだけだよ」


「………そうですか」



………トラが降伏を示す程……一体どんなに恐ろしい睨みを利かせたのか…………



その後撮影してもらった写真には私達の撮影時だけお腹を見せたトラの姿がばっちり写っていた

…………トラもさぞかし怖かっただろう…………戸惑った様子だった飼育員さんとトラに心底深く頭を下げながら私達は動物園を後にした



__________"




父の運転で揺れる車内で再び瞼を閉じた彼、やはり多少なりとも気疲れしたのだろう

あどけなく気の抜けた横顔は窓から射す夕陽に照らされて綺麗に影を落とす

私はそんな彼をいつまでも眺めていたかったが乗り物酔いにやられてしまい彼の膝を勝手に拝借して眠りに付いた


ゴツゴツと硬い筋肉に頬を擦り寄せると彼の香りがほのかに香って密かにドキドキと胸が鳴ったのは私しか知らない





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