第78章 家族と私と彼
触れ合える場所にはひよこや子やぎちゃんうさぎは勿論だが総ざらいで撫でまくる
彼も私を真似て無表情で撫でるが楽しんでいるかは不明だ
餌やりバケツを購入し手渡してくれた母に嬉々としてお礼を伝えながら馬に餌をやる彼は特段興味も無さそうだが
「象にも餌やり出来ますよ!」
と声を掛けると途端に彼の瞳が輝いた
バケツ内のフルーツを渡すと彼は真っ直ぐに象に向かって歩き出す
彼は林檎を指先に持つと腕を伸ばし象を待つ
しかし彼より先に弟が餌やりをしていて中々寄って来ない象をただ待つ背中が何だか可愛くて、動物そっちのけで眺めてしまう
長い鼻を伸ばしてやっと林檎を食べて貰えた彼は満足気な表情を浮かべていて一人にやにやしてしまった
犬や猫も園内には沢山いて撫で回る中メインのイベントが迫る
メインイベントとは………トラとの触れ合い体験!
トラと言っても子トラと言うには大きく青年くらいの大きさのトラと触れ合えるのだ
其れがこの動物園の根強い人気の根元だと思う
私達家族はそわそわと其の列に加わるが彼は特段楽しみでも無い様子だ
其れが証拠に彼はぼーっとヤギを眺めている
………まぁ彼のご実家にはミケというやたらに大きなワンちゃんがいらっしゃるのでそこまでテンションも上がらないのかもしれない