第78章 家族と私と彼
何の列なのか、何故並ぶのか理解出来ていない様子の彼は尚もきょとん顔で此方を見詰める
お行儀良く席に付き『ご飯まだ?』とでも言い出しそうなその光景は非常にシュールだ
ビュッフェを知らないとは迂闊だった
彼は良いお育ちのセレブなのだ
私は頬の内側を噛み、笑いを必死に堪えながら足早に彼の元へ歩み寄った
「あの、イルミさん……「ねぇ、何故皆して並んでるの?」
「席は用意されてあるのに並ばなくちゃいけないの?」
「あの………ビュッフェって言うて、お皿に自分の好きな食べ物を取って、このテーブルで食べるんです。飲み物も好きな物選べますよ!」
「セルフサービスって事?」
「そうです!」
「ふーん」
最初こそ小首を傾げていた彼だったが納得した様ですんなりと列に並んでくれたので安心した
好きな物だけ食べられるとは言っても慎重な彼は見知った物しか食べなかったが唯一冒険したミートボールをおかわりする姿にほっこりした
_____________"
昨日同様車に揺られて目指すはしろと○動物園
動物番組等でトラの赤ちゃんやライオンの赤ちゃんを提供している確率がやたらと高く以前家族で訪れた際、園内殆どの動物達と触れ合える事に驚いた