第76章 深緑の窓
飽きる事無く流れる景色を眺める彼を見詰める
暗殺者とは簡単に言えば人の命を奪う仕事だ。
其れを生業として幼い頃から英才教育を受けた彼が死者を参り慈しむ…………真反対の事をした彼の心境はどうだったのか……想像をしてもやはり平凡な私には解らなかった
途中で寄ったレストランでステーキを食べた私達
普段食べきれない分を弟に食べてもらうのだが意外と大食いな彼に食べて貰ったりして
自然と私の家族に溶け込んでお行儀良く食事する彼。
気疲れしていないだろうか……
ナイフとフォークを美しい所作で扱う彼はお箸よりも気品が溢れており祖母も感心した様子で
誰が見ても彼は上品なのだと再確認したりした
昼食後酔い止めの薬を飲んだ私は俄然元気に彼に絡む
彼が運転していない事もあり、車内でも気にする事無く彼とお喋りを楽しめるのが新鮮で嬉しかった
目的地に到着する迄の間私と彼はアルプス一万尺をしたり、しりとりをしたり何が楽しいのか解って居ないが付き合ってくれる彼に子供の様にはしゃぐ私は飽きる事無く何時までもじゃれていた