第76章 深緑の窓
「……え!イルさ「良いから眠れば?」
「…………ありがとうございます」
溜息混じりに放たれた言葉は無愛想ながら優しい響きで
あのまま懸命に起きていたならリバースは確実だったので大人しく彼の好意に甘える事にした
(優男過ぎるッ!!!惚れてまうやろーッ!!!!!!!あ、惚れてた……)
下らない事が頭を巡ったがやはり座っているより随分と楽だ
お世辞にも寝心地が良いとは言えない彼の膝枕でその後ぐっすりと爆睡を決め込んだのだった
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「沙夜子ー!起きやー!」
ぼんやりと母の声が聞こえて重たい瞼を開く
すっかり忘れていたが膝枕をされていた事を思い出し慌てて起き上がると頭に強い衝撃を受けて彼の抑揚の無い呻き声が聞こえる
「っ~!!!」
「……うっ……………」
私が上体を起こした時に丁度私の様子を伺い覗いていたらしい彼の見目麗しい顔に私のビー玉程しか脳ミソの無い頭が直撃したのだった
彼が臨戦態勢ならば易々と避けられただろうが完全に気を抜いていたのだろう…………非常に申し訳ない