第75章 男とのヒトコマ
8月のある日
洗濯物を取り込んでいてふと違和感に気付く
普段タコ足に干している筈の私の数少ないパステルピンクに可愛いフリルがあしらわれた勝負下着が無くなっていた
(…………ん?確かに洗濯した筈………)
違和感を抱いたまま洗濯物を畳み仕舞う振りをしつつ下着入れを確認するがやはり見当たら無い……
私は洋服こそ小綺麗にしているが下着に特段興味が無く履き心地重視の為、乙女チックな花柄なんかの下着は極僅かしか所持していない。
彼と生活を始めた当初から干している物が目に付くかもしれないと気を引き締めていたが
私の下着に興味等皆無だろうという結論に至り、最近は良い具合にゴムの伸び切った履き心地抜群の安心パンツも着用していたのだが………無くなったのは私の下着入れで一際目立つ勝負下着………
(………え、何で……………。)
まぁあの中でピンクちゃん(下着の愛称)を選ぶのは女の私にでも解るが
この家の中で私以外に居るのは彼一人な訳で…………
彼が私の下着をこっそりと拝借してしまったのか…………?
座椅子に座ってテレビを見ている彼を疑いの眼差しで盗み見るが何時もの事ながら無表情………
(………イルミさんが………?………………いや…………あり得へんよなぁ………)
私の下着を取った所で彼に何の得があると言うのか……。更に淡白で几帳面な彼がその様な事をする可能性は宇宙人にキャトルミューティレーションされる確率と同等のレベルでかなり低いと思われる………