第74章 嵐の街
(おおおおおおっ!!!!!まさかの膝枕ですか!!!!!)
ゆっくりと上体を起こしてソファー上で素早く土下座する
……………彼に土下座をするのは何度目だろうか……思い返そうとすれば随分遠い目になる事は間違い無い………
「すみません!疲れましたよね………?」
「別に。頭上げなよ。」
「……はい………あの………!………いつ頃から何故あの状態に…………?」
…………あれは紛うことなく膝枕だった
あの状態を長時間平然と続けられたのは絶対的に爆睡していたからだが今あの体制に戻れと言われてしまえば途端に狼狽える自信しか無い。…………まぁ……言わないだろうが
「多分3時くらい。……うわ言みたいに寒い寒いって煩かったから引き寄せた」
「………そうでしたか。すみません」
「俺が勝手にした事だよ」
彼は事も無さ気に伸びをした後に外はすっかり晴れている事を教えてくれた
半乾きのTシャツを身に纏い会計を済ませて外へ出た
台風後特有のカラッとした空気が身体を包む
昨日の雨は嘘の様だ
私達は強く照らす太陽を一身に浴びて大きな水溜まりを作るアスファルトを踏んで帰宅した
「やっぱり我が家が一番ですね」
「そうだね」
その時柔らかい微笑みを溢した彼の横顔を私はきっと忘れないだろう