第74章 嵐の街
「…………うーん」
無い頭を捻っていると
「あそこ入る?」
彼が指差したのはインターネットカフェ快活○ラブだった
確かにあそこなら雨風凌げてフルフラットタイプなら彼には窮屈かもしれないが眠る事も可能
明日が土曜日で二人共休日な為に時間の心配も無い
現在地から走れば数十秒の距離
私はゆっくりと頷いた
途端にふわりと身体が宙に浮き全身に強く打つ水を感じて身を固くする
しかし其れはほんの一瞬の出来事で
既にインターネットカフェの前に到着していてポカンとしてしまう
見上げると伏し目がちな瞳と視線が交わり彼は私をゆっくりと地面に降ろしてくれた
「ありがとうございます」
「うん」
本当に一瞬の出来事だったのに頭から爪先までびしょ濡れに成っていた
彼も当然びしょ濡れでシンプルな白のTシャツがギリシャ彫刻の様な美しい身体に張り付いて所々透けており大変目のやり場に困り視線を泳がせる
張り付く髪を鬱陶しそうにかきあげて瞳を細める仕草は官能的過ぎやしないだろうか……
「………入らないの?」
「……は、入りましょう!」
(刺激的ッ……………!!!!出血多量で死ぬぞ、……いや、殺す気か!!!……あ、………イルミさんって殺し屋やっけ………ゾルディックって色気で悩殺する感じの方針やっけ………)
頭の中を錯乱させていた私は彼の声でインターネットカフェへ足を進めた
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夏場とはいえ冷房の効いた室内では身体の熱が奪われる一方で非常に寒い