第7章 新年のご挨拶
少々欲張りになってしまったがどちらか一つなんて選べなかった
彼は何を願ったんだろう……綺麗な横顔からそれを伺い知る事は出来なかった
参拝を終えた私達は社でおみくじを買った
「こんな紙で占い?」
「簡単に言えばそうです」
せーので開いた。
「わあっ……!二人共大吉やぁ!」
「?」
「占いの中で一番良い意味の物です!」
思わず満面の笑みで報告する
おみくじを読み上げてひとつずつ意味合いを教えた
イルミさんは興味深気に繁々とおみくじを眺めていた
何となくだが私とイルミさんの共同生活が楽しい物になる気がした
私はおみくじを持っていたくて括り付けずに財布に仕舞った
何せイルミさんとお揃いの大吉なのだから。
イルミさんもポケットに仕舞った様だった
その後私は紫色の無病息災のお守りを買った
(イルミさんが向こうの世界に帰っても元気で過ごせますように……)
渡すのは何となく照れくさくてそっと鞄に仕舞った
イルミさんは既に屋台を眺めていて、その背中が非常に可愛い
「イルミさん何が気になります?」
後ろからひょこりと覗き込めば目が合う
「あれなに?」
「あれは射的です!やりましょう」
「え」
戸惑った様に立ち尽くすイルミさんの手を引いて射的に挑む
お手本にと私が先行で挑戦する
せっかくなら一番上の棚にあるス◯ィッチのぬいぐるみが欲しくて狙うが弾はぬいぐるみに届く事無く呆気なく終了となった
「はい!次イルミさんどうぞ!」
後ろ髪引かれるが仕方ない
無言で受け取ったイルミさん
きっと器用にこなすのだろうと思っていたら大きなチョコレートのお菓子、風船ガムのセット、ラムネと本当に次々と景品を落とした
そして最後にパンッと小気味良い音と共にお目当てだったぬいぐるみが落ちた
「おー!!イルミさん流石!何でも出来るんですね!!」
思わず拍手する私につられて屋台のおじさんも「兄ちゃんやるなぁ!」と感心していた
景品は袋に詰めてもらった
他にも何件か屋台を周り
タコセンとミルク煎餅を食べてアマ酒を飲み境内を後にしていよいよ実家へ向かって歩き出した