第71章 ミッション
7月下旬のある日
バイトを終わらせて帰宅し、開いた何時もの玄関で私は悲鳴を上げていた
遡り季節は5月中旬
私は彼にゴミ出しをお願いした
寝坊して遅刻しそうな朝、私がお弁当を作る間に彼はゴミを出しに行ってくれた
其れから自然と彼が率先してゴミ出しをしてくれていて、私もそれに甘えていたのだが……………
その事がきっかけになり壮絶な戦争が静かに始まっていた事を私は今の今まで知らずにいた
彼の話を纏めるとこうだった
私に初めてゴミ出しを頼まれた日
通勤等でアパートの前にゴミ置き場が在る事は認識していたので迷う事無くミッションを達成
しかし30分程して出勤しようとゴミ置き場の前を通るとゴミが散らかされており、頼まれた事はキッチリとこなしたい完璧主義の彼は驚愕と悔しさを胸に抱えてその場を泣く泣く後にしたそうだ
其処から彼の情報収集は始まった。彼曰くプラスチックゴミや紙パック等が荒らされた事は無く缶やビンの日はリヤカーを引いたおじさんが袋ごと持って行ってしまうそうだ
「……まぁ、おじさんは良いんじゃないですかね……」
「話には続きがあってね」
真剣な眼差しで続きを話す彼
彼の調べによるとゴミが荒らされているのは決まって生ゴミを出せる週に2日在る普通ゴミの日だけだったそうだ
袋が破られて中身が道路に散乱するのを彼は歯を食い縛りながら犯人を突き止める為に必死に情報を集めた
……そう………全てはミッションを完璧にこなす為………
………私には大方の話の筋が見えたのだが彼があまりに熱心に喋るので黙って聞いておく
「俺はね、最初あのリヤカーのおじさんが荒らしていると思ったのだけど…「ブッ…………!!いや!おじさんに謝って!」