第70章 未来について
「イルミさん、今から一緒に夕飯のお買い物行きませんか?」
「うん」
言うなり自分の広げた物を綺麗に段ボールに片付ける彼
てっきり集中して御手入れに励んでいたし完璧主義な彼の事なので途中で放ったままの外出は却下されるとばかり思っていたので嬉しくなった
通い慣れたスーパーへ行くだけの事なのにワクワクと弾む気持ちを隠す事無く笑顔を浮かべる私は世界一の楽天家かもしれない
その方が色々幸せなので其れでも良い
暫くして玄関へやって来た彼と連れ立ってアパートを出た
途端に湿気を含んだ蒸し暑さが身体を包む
「……うー……暑いですね……」
「うん」
隣をチラリと見遣ると彼は涼しげで微塵も暑そうには見えない
ゾルディック家では暑さの訓練もするのだろう事は想像出来るが汗はかかないのだろうか………
「………イルミさんって汗かかないんですか?」
「かくよ。だけど滅多に無いかな」
「訓練でどうにか成るものなんですか………?」
「そうだけど……それがどうかした?」
「羨ましいなぁって。私も汗かかんようになりたいです………訓練ってやっぱり厳しいですよね……?」
「俺が5歳の時の訓練だけど……沙夜子なら即死」
「……即………!……そ、そうですよね」
「だから沙夜子には訓練してあげられない」
「とんでもないです!ちょっと聞いてみただけ…………」