第70章 未来について
ジジジと羽音を鳴らして勢い良く飛んだのは間違いなくアブラゼミで
「……ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
私は全身に鳥肌を立たせて悲鳴を上げた
"俺はすこぶる元気だぜっ!"とでも言い出しそうな程あちこちにぶつかりバチバチと羽音を響かせながらパワフルに飛び回っているセミの動きは予測不可能
私は早くもパニックに陥る
彼は私の悲鳴を聞いて直ぐに飛び起き臨戦態勢を取っているが私が何に怯えているのか理解出来て居ない様できょとんとしていて
いつもなら可愛いと密かに身悶える場面だがそれ所では無い
「……沙夜子何騒いでるの。あのセミ何、飼うの? 」
「飼う訳ないッ!!!!!お願い助けて!!!セミ怖い!!!!」
途端に言葉でも解っているかの様に私へ向かって飛んで来るセミにまたもや悲鳴を上げる
「………」