第70章 未来について
夏祭りの翌日
目を覚ますと時刻は昼12時を回っていたが彼は隣でスヤスヤと眠っていた
無防備な表情を浮かべる彼を静かに見詰める
………居なくなる。想像しただけで身が裂けそうに辛くなった
だけど………くよくよ考えている内にも彼と共有出来る刹那の時間は過ぎるばかりなのだと言い聞かせる
(やめよう。………考えるのはやめよう…………)
私は布団から出て気を紛らわせる為にジョ○ョのカー○様のポーズを取った
「………何やってるんやろ」
眠る彼からは当然返事も無く
私の声は何処にも行かずに消えた
私は暫くぼーっとした後に空気の入れ替えも兼ねて洗濯物から片付ける事にした
昨日干した物を取り込む為にカーテンを開くと大きくて真っ白な入道雲と焼ける程の太陽がギラギラ輝いていた
ベランダに出るためにガラス戸を開くと溶けそうな程熱い空気が侵入してくる
「………あっつ……」
最早とんでもない騒音に成っているセミの声を聞きながら洗濯物を取り込みつつもテレビ番組で見た関西が一番セミの声が大きく他府県から来た人は驚くという話を思い出した
(…………私でもびっくりするんやもん………そりゃそうか…………。セミの声がめっちゃデカイから人間も声でかくなったんかなぁ…………)
なんてどうでも良い事を考えつつ洗濯物を全て取り込み素早くガラス戸を閉じる
僅かな時間だったが額に浮かんだ汗を拭い
彼が起床する前に片付けてしまおうとタオルを手に取った瞬間硬い何かが動き出しけたたましく嫌な音が響いた