第69章 夏祭り
隣でしゃがみこみ私の手元を見ていた彼は先程よりも随分長持ちしていたが早々に終わってしまっていた様だ
屋台のお姉さんに沢山取れたから好きなボールを10個持っていって良いと言われて自分好みのボールを選び透明の小さな袋に入れてもらい屋台を後にした
「やったー!!これめっちゃ可愛くないですか?」
「俺にはガラクタに見えるけど、良かったね」
「はい!」
ガラクタ………という言葉は聞かなかった事にした。
当然の様に繋がれた手に視線を合わせる事は出来なかったがドキドキと弾む胸からきっと自然に笑えている筈だ
その後私達はわたあめを食べた
イルミさんは嫌な顔をした後に直ぐゴミ箱に捨ててしまい
屋台のおじさんと気まずくなったりして
次いでイカ焼きを買い道の端に寄って食べる
芳ばしい香りに醤油ダレがマッチして旨味が広がった
「やっぱり美味しいー」
そんな私を見ていた彼だが一口頂戴と言われて固まる
しかし何時までもフリーズしてはいられないのでイカの刺さった串を差し出すと彼は徐に長い髪を耳に掛け屈み私の手首を掴んでワイルドにかじった
直ぐに解放されたものの熱くなる身体
ただ単に暑さのせいでは無いのは自身が一番わかっている