第68章 ゆかた
7月21日土曜日
私はこの日彼を夏祭りへ連れて行くと決めていた
早速浴衣が活躍する場面である
嬉々として普段と比べ物にならない程のバッチリメイクを施し
予め携帯で見付けていた浴衣に似合う髪型を作り上げるのに三時間程費やした私は自宅でゴロゴロ過ごしている自分と最早別人
しかし、恋焦がれる彼とドキドキワクワクのイベントなのだ
少しでも可愛い、とか綺麗、とか思われたいと思うのは当然では無いだろうか
…………化ける過程を全て彼と同じ空間で仕上げている辺りに関してはどうかと思うが一部屋しか無いのだから仕方ない
彼はそんな私を無表情に見ていたので果たして綺麗、可愛い等と思っているかは甚だ疑問だが
もうじき日が傾き祭りを開催する通りも人が集まり始める頃
先にイルミさんに浴衣を着付ける事にした
(………………ん?!)
私はこの時点で大変な問題点に気付く
着付けるという事は彼の下着姿を見るという事だ
(…………私……イルミさんのパンツ姿見るの……!?!?!?)
洗濯物として見ているので勿論どんな下着を身に付けているのかは認識しているが着用中となると訳が違う………
(………どうしようどうしよう………え、どうしよう……)
私は途端に狼狽えた
想像しただけで顔から火を吹き出しそうだ
しかし着付けを他に頼める相手も身近に居らずお店に任せるのも何だか嫌だと思ってしまうのは只の独占欲だろうか………