第67章 彼とゲームセンターと私
とにもかくにも必要な物は全て揃い時間が余ったので宛てなくショッピングモールを歩いていた
然り気無く私の手から荷物をかっさらう彼に胸キュン所の騒ぎでは無い動悸を起こしつつ
視線に入ったのはゲームセンターだった
学生時代は良く遊んだものだが最近めっきり行く機会が無かった
「イルミさん!遊んで行きましょう!」
「……」
返事は無いが否定せず一歩後を着いてくる様子から了解を得る
近付けば騒がしい音に様々な景品、自然と胸が弾み
彼と並んでクレーンゲームを見て回っていると次々飛び込んでくるのはアニメキャラクターのフィギュアやグッズ
「うぉぉぉ!!!岸○露伴先生ー!!!」
「?」
私は立ち止まり思わず大好きなキャラクターの名を呼んでしまった
彼が家にやって来てから所謂アニメ文化が華やかな場所に赴いていなかった禁断症状からか興奮を隠せない
何となく彼は違う次元からやって来た本物だという事を考慮して遠ざけていたのだが今は不可抗力だった
私は直ぐに硬貨を投入してゲットを目指すがクレーンは少し箱を傾けただけで景品は取れなかった
「くそぅ…………露伴ちゃん………露伴ちゃん…………」
「………そんなに好きなの?」
「(※読まなくて平気です)はい!大好きです!家に東○丈助くんと億泰くんは居てるんやけど露伴ちゃんは居てないんです!まぁ、丈助くんと仲悪い漫画家さんなんやけど皮肉屋な癖に良い人で、でもぶっ飛んだクレイジーな人で!そういう所が凄い好きで……しかも!DI○様と条太郎様以来戦闘で空飛ぶ描写がある人でもあるんですよ!ジャンケン小僧の回なんですけど、まさかジョース○ーの血統じゃない露伴先生がお空を飛ばれるとはねぇ!!実は5部が一番好きなんですけどやっぱり各部毎に皆魅力的なんです!…………まぁ本命はブチャ○ティーさんなんですけど。」
「……………へぇ」
凄い熱量でまくし立てた私の言葉は全く彼の耳には届いて居なかった
その証拠に彼は別のクレーンゲームの景品に視線を向けている