第6章 酔っぱらいと大晦日
そして、時計を見てそろそろ蕎麦を作ろうと思い立つ
普段に輪をかけて思考回路が馬鹿になっている私はフラフラと立ち上がりキッチンに立つ
私が酒を空けると思ったのかイルミさんも私の後を追ってキッチンへやってきた
気配が全くしないので間抜けにも叫んでしまったが、酒では無くカップ麺の蕎麦を持つ私を見てイルミさんはきょとんとしていた
(可愛い……)
「年越し蕎麦です!年末に食べるのが日本の文化です!イルミさんの方にはそういう文化あります?」
「無い」
「今年一年の災厄的なものを断ち切る、みたいな意味合いが込められたものです」
「ふーん」
沸いた湯をカップ麺に注ぎ
ちゃぶ台前で待つこと3分
「じゃじゃーん!かんせーい!」
無駄にテンション高く蓋を捲る
無言ではあったがあっという間に食べきった様子からお口に合わなかったという事は無いようだ
そして
私達は新年を迎えた
「あけましておめでとうございます」
「おめでとう?」
なんて言い合い
二つ並んだ布団に就いたのは深夜2時を過ぎた頃だった
そう言えばあんなに楽しみにしていた番組の内容は途中から全く記憶になかった