第65章 私の死闘
現在午前9時
私は不気味なダンスのジレンマから脱していた
朝食にしてはガッツリとした唐揚げとシーザーサラダを貪っている私と相反して上品に食す彼
「そう言えば………私どうやって帰って来たんでしょう………?」
「……ヒソカに抱っこされて」
「…………マジか」
「うん」
「えっと…………それで怪我を?」
「…………」
彼は何も答えなかった
私もそれ以上何も聞かなかった
……………しかしヒソカさんに抱っこされて…………なんて………
(絶対めっちゃ目立つやん…………悪目立ちやん…………しかも絶対体重バレたぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!)
打ちひしがれる私を他所に彼は黙々と食事を済ませた
彼は普段より何処かよそよそしく冷たい印象を持たせる
やはり約束を守れなかった私に失望してしまったのだろうか………なんて不安になるが拒否される恐怖から聞く事は出来ずただ横顔を見遣った
私は心の距離を詰める様に彼にピタリと寄り添ってみる
少し驚いた様子で此方を見遣った彼とは敢えて目を合わせずにいると
「何?」
「……いえ。ちょっと引っ付いてみただけです」
「………そう」
他人に近付かれると不快に感じるパーソナルエリアを犯しているが全く拒否はされなかった事に心底安心した
そして気恥ずかしさから直ぐに立ち上がり洗い物を済ませた
(………あのままやったら寝てしまいそうやし………)
__________"
「寝たらあかんしテレビは私が使わさせて貰いますからね。罰ですから。罰を遂行する為ですから」
「はいはい」
関心無く返答する彼に了解を得て
私は録り溜めた金曜ロードショーを徐に再生する