第63章 バーが似合うのは大人だけ
7月のある金曜日
私はバイト先の飲み会を済ませてベロンベロンに酔っていた
其れでも飲み足りなかった私は藤木を誘って2件目へ行きたかったのだが見事にフラれてしまい
自宅でテレビでも見て居るであろう人物が頭をちらつくが毎度毎度彼を巻き込むのも気が引けるので一人バーへと入店した
外観よりもシックでお洒落な店内には高そうなお酒が並び素面ならびびっていただろうが
ちょっと一杯くらい大丈夫、と酔った私はえらく強気でカウンターへ腰掛けた
と、直ぐにやって来たバーテンダーの男性にメニューを渡され適当におつまみとカクテルを注文していると特徴的な声が耳を掠めた
「ひとりかい?♦️」
「…………!!」
カウンターに落としていた視線を上げるとピシリと黒の制服を着こなして慣れた手付きでカクテルを作るヒソカさんと目が合った
私は驚きの余り卒倒しそうになったが何とか耐える
「ひ………ひとり……」
「そう……どうぞ♥️」
そう言えば彼はマジックバーで働いていると言っていた……
此所が例のマジックバーか…?と辺りを見回すと最初は気付かなかったがそこかしこに然り気無くマジックに使用される様な小道具があしらわれていた
彼から手渡されたカクテルを一口含みつつ冷や汗がこめかみに浮かぶ
(どうしよう……………!!!!!ヒソカさんと二人きり…………!!!)