第61章 星に願いを
暫くの間そんな彼に見惚れていたが私は私で願い事を考える
(イルミさんとほんまの恋人になれますように………とか読まれたら爆死しそうやし…………ずっと一緒にとか無理やし重いよな………うーん…………)
彼にバレずに彼との未来を願いたいと思い書いた願い事は
【ずっと笑顔で楽しく生きれます様に】
だった
彼が居なくなってしまったら到底叶わない願い
彼と過ごすからこそ心の奥底から笑顔で居られるのだ
彼の短冊は未だに白紙
「イルミさんの願い事は何ですか?私はこれです!」
「能天気な沙夜子にピッタリだね」
「…………どうも……?」
「うーん。俺願い事なんて無いんだけれど……」
「何でも良いんですよ?」
彼は一瞬動きを止めてボールペンを手にしたが
また放ってしまった
「書き出せる様な願いは持ち合わせて無いんだよね」
「………些細な事でも良いんですよ?例えば、ハンバーグいっぱい食べたいとか」
「………」
その後暫く考えた彼は閃いた様にスラスラと文字を書き進めた
出来上がりを見てみると其所にはハンター文字が並んでおり読む事は出来なかった
「………何でハンター文字?」
「しっかりとした願いだから元の世界の文字の方が良いかと思って」
「……そうですか」
「うん」
無欲に見える彼の願い事を知れると思い少しワクワクしていた私はガッカリしてしまったが写メを撮ってまた後日調べる事にした
悪趣味かもしれないが………大好きな彼の願いを知りたいと思う欲望は普通の事では無いだろうか……
私達は短冊二枚を吊るし
その後簡単な折り紙を折り飾りとして一緒に吊るした
____________"
「さぁ、いきますよ!」
「………」
私達は笹を手に近所の川まで歩き橋の中腹までやって来た
「さぁ、一緒に投げましょう!」
「………」
私と彼は小さな笹を一緒に持ち川へ投げ込んだ
正しいのか知らないが幼い頃の記憶では願い事を吊るした笹は川へ投げ込み願いが叶う様に祈った
手を離れて遠く下の水面へ落下して行く笹を見詰めていると
「せっかく買ったのに捨てちゃうんだね」
なんて意地悪を言う彼の言葉に苦笑いをこぼしつつ本当に願い事が叶う様にと強く祈った