第59章 沢山の思い出を
どちらでも良いと思う辺り
私は随分神経が図太くなった様に思う
(でもせっかく来たんやしイルミさんも遊んで欲しいなぁ…………………………………ここは強引に柄悪く絡んでギャップで断り辛い感じを演出や……!!)
「はぁ……そんなすかしてカッコつけちゃって……イルミさんだってほんまは遊びたいんでしょ?」
私は自信たっぷりにやれやれ感を出して彼を見る
表情に変わりは無いがピクリと眉が僅かに動いた
………さぁ、相手のターンだ
ごくりと唾を飲み込む
と彼は間髪入れずに
「は?」
と短く吐き捨てた
私の背中に暑さのそれとは違う汗が伝う
「イルミさんお願いします……遊びましょうよ~!」
咄嗟に作戦変更……
私は引き吊る笑顔を張り付けて使えない手下の雑魚キャラの様に下手に出てみる
せっかくの外出先で彼の機嫌を損ねるのは絶対に嫌だ
一方彼からしてみれば先程は強い口調だったのにたったの一言声を掛けただけで私はペコペコと頭を下げる勢いで焦っているのだからさぞ情緒不安定に映るだろう
その証拠に彼は怪訝な表情を浮かべて一歩身を引いてしまった
(………やばい。暗殺者を怯えさせてる私って相当やばい奴やん………)
私は更に作戦を変更し、ここは一旦引いて観光を終えた後に川辺へ彼を誘う事にした