第59章 沢山の思い出を
7月1日
鬱陶しい梅雨はまだ明けぬまま季節は7月に入った
彼との生活も半年を切ってしまった
私はカレンダーを横目に見て見ぬふりをする
テレビから流れるニュース番組からは海開き、なんて言葉が聞こえてふと夏を感じる
気が付けば随分暑くなったものだ
じわりと額に汗が浮かんだ
窓の外には先週よりも濃さを増した青空と真っ白な入道雲が浮かんでいる
幼い頃から夏が大好きだった
お盆休みは必ず家族旅行に出掛けたし夏休みが永遠に終わらなければ良いのになんて考えていた
そんな幼い頃の気持ちを思い出し今の歳になってもワクワクする
ふと彼に視線を向けて彼も異世界への長期休暇に来ている様なものなんじゃないかと考える
其れならば出来るだけ沢山の思い出を
………幾ら願っても楽しいお休みはいずれ終わりを迎えるのだから
「イルミさん!」
「何」
「今からどっか出かけませんか!」
「別に良いけど」
私は彼を引っ張って強い日射しの中外へ出た
___________"
実家に車を借りるのも慣れた物だ
車を借りて直ぐにコンビニへ向かい二人並んで観光雑誌を立ち読みする
迷惑行為かもしれないが、後程買い物するので多目に見て欲しい