第59章 沢山の思い出を
「川行きましょう!」
「………川ね…………ここは?」
リクエストにページを捲っていた彼が雑誌を傾けて私に見せてくれる
其所には綺麗な川にこぢんまりした温泉街が並び特徴的な赤い橋が綺麗で独特の雰囲気を醸し出した村が写っていた
「おぉ……何処ですか?」
「奈良県」
「此処からどれくらいですか?」
「二時間位で余裕で到着する」
「じゃあ決定ですね!」
笑顔を向ける私の言葉にパタリと雑誌を閉じて此方に向き直る彼に昼食を購入しようと伝えて其々好きな物を購入して車へ戻った
彼は素早く移動したがるので動く車内でも食べられる物を選んだのだが正解だった
乗り込むなり直ぐにナビをセットする彼を余所に私は昼食を広げる
私はおにぎりを2つ購入した
袋を覗くと彼はチーズバーガーを暖めてもらいサンドイッチとおにぎり、フランクフルトを購入している
セットが完了するなり直ぐに発進する車
「何から食べます?」
「おにぎり」
私は彼のリクエストのままおにぎりの包装を取り払い食べやすい様に手渡す
ありがとう、と言うも視線は前方から離さず片腕で運転し普段品を漂わせる彼が無造作におにぎりを頬張る姿はどこかワイルドで見惚れてしまう