第58章 日本の食卓
突然の奇行にポカンとしていると遠くでガシャンと硝子が割れる音がしてはっとする
彼が小皿を投げ捨てたに違いない
「イルミさっ…!!!!」
私が声を上げるが早いか彼が私の納豆を取り上げるが早いか
彼は私の小皿を取り上げてそのまま凄い勢いで外へ投げた
「ちょっ…………!」
またガシャンと硝子の割れる音が響く
「…………っ!!!!!」
開いた口が塞がらない私に彼はシリアスな表情を浮かべて
「危ない所だったね」
と言い放った
「イルミさん何してるんですか!!!!」
「何ってあれ腐ってたよ」
「……………納豆は元々発酵させてるから腐ってるんです!!」
「酷い臭いだったけど」
「納豆はああいう物なんです!!」
「だとしたら俺は一生要らない」
「……………そうですか」
「あーびっくりした」
全く驚いた様子も無い彼の呟きを聞きつつ私は暫くぼんやりしたまま動けなかった
後日お隣から回ってきた回覧板にて【納豆の小皿を投げる迷惑行為】の文章を読み
ひっそりと乾いた笑いを漏らしたのだった