第56章 ベッド
部屋を照すベッドサイドの小さな電気スタンドがやけに卑猥な雰囲気に思えてぎゅっと瞼を閉じた
「………ねぇ」
不意の声にそちらを向くと彼は天井を眺めたまま言葉を紡ぐ
「その服……クロロのだよね」
「……はい」
「おやすみ」
「………おやすみなさい……」
冷たく言い放たれた声
普段あまり感情を露にしない彼の今の態度はもしかしたなら嫉妬だろうか……
(………私の思い上がりかな………)
言うなりごろりと背中を向けた彼を見詰める
大きなベッドだけありそれなりの距離があり
ひとつのベッドと言うには遠い距離に緊張が段々と解けて行く
ひとつの掛け布団は徐々にお互いの熱が伝わり暑くなり私は寝苦しさを感じた
私はそろりと掛け布団を捲り袖を捲り上げてまた彼を見詰める
(…………暑くないんかな……)
恐らくヒソカさんに借りたであろうジャージに身を包んでしっかりと肩まで布団を被っている背中
私は我慢成らず遂に掛け布団を足元まで追いやってしまった