第55章 高層マンション
何も手土産を持たずに訪れた事を少し後悔した
「これ全部調べたのか?」
「はい!」
「沙夜子は可愛らしい字を書くんだね♥️」
「………そうでしょうか」
スケジュール表を其々に手渡すと当然ながら反応が返ってくる
今までは自己満足の範囲で上出来だと思っていた私だが
いざ人の目に触れるとなると妙に緊張した
イルミさんにさえしっかりと御披露目した事は無かった
私とイルミさんは原本を二人で覗きながら説明を始める
たった1日分の工程をあれやこれやと4人で会話を交えつつ話し終えるには思いの外時間がかかってその間に喉を潤そうと飲んでいたアルコールが回る
次のページを開くとヒソカさんが口を開いた
「このイラストも沙夜子が描いたの?」
「…………………あ、はい」
ページの端にヤシの木とカモメの何とも簡易的な落書きがはっきりと描かれている
作成中に気分が乗ってご機嫌で描いてしまったが今となっては恥ずかしい以外何もない
(………調子乗って描いたやつや……死にたい………)
「可愛いイラストだね♥️」
「止めてください恥ずかしいですっ………!」
「……何故だ?海らしくて良いじゃないか。なぁイルミ」
「うん」
三人に寄って集って誉められて私は居心地悪く変な汗をかいたのだった