第6章 酔っぱらいと大晦日
丁度良い具合に出来上がったすき焼きを前にカセットコンロの火を消した
「もう食べて大丈夫ですよ!好きな具材を取って卵に浸けて食べるんです」
見本を見せる要領で順に具材を取って自分の器へ善そう
イルミさんも真似る様に箸を持つがその手はぎこちない
(今までお箸使う料理作って無かったけどイルミさんお箸使った事無いんや……っ……可愛い……って言ったら殺されそうやけど)
箸の持ち方をレクチャーした
素直に学ぼうとするイルミさんは何度か見たがとにかく可愛い。失神しそうだ
飲み込みの早いイルミさんは私を真似て順に具材を器に善そった
必ず"いただきます"を言う彼に頬を緩ませつつ私も口に運ぶ
自画自賛だが絶妙に甘辛い味付けと生卵が絡んで思わず溜息が漏れた
初の生卵はどうなのだろうとチラリと彼を見遣ると、少し目を見開いた後に
「美味しいね」
と言ってくれた
私は嬉しくて、でしょ!なんて力強く答えてしまった