第52章 程々が一番
そのままの苺は彼にハマらなかった様だがチョコレートソースやアイスクリームと組み合わせて食べる分には美味しかったらしく彼は次々に口へ運びあっという間に平らげた
私もマイペースながらゆっくりと味わいパックを綺麗に空にした
「さ、帰ろう」
彼は目的を終えると素早く移動を始める傾向がある
本職の職業柄故に仕方ないのかもしれない
私も慌てて席を立ち後を追おうとしたのだが
出入口で販売されているパック苺に思わず立ち止まる
先程迄たっぷり味わった筈なのだが自宅でも楽しみたいと思ってしまうのは贅沢だろうか
私が迷っていたのはほんの一瞬でパックを直ぐ様カウンターでニコニコしているお姉さんに手渡した
彼はそんな私に気付いた様子ですかさず練乳をカウンターへ持ってくるものだから笑ってしまった
「何で笑うの」
「可愛いからです」
「……本当意味が解らない。」