第52章 程々が一番
6月9日土曜日
私達はまた実家のファミリーカーを拝借してのどかな田舎道を走っていた
見渡すと綺麗な青空と山並み
梅雨の季節は特に晴れ渡る空の色が綺麗に思うのは私だけだろうか
隣でハンドルを握る彼に聞いてみたが「そうかな」と気の抜けた声が返ってきた
(………思ってるのが私だけでもまぁ……良いんやけど)
私はお気に入りのCDから流れる大好きな曲を口ずさみながら流れる景色を眺めていた
到着したのは農園
私達はいちご狩りにやって来ていた
何を隠そう(別に隠さなくても良いが)私は苺が大好きなのだ
予め予約していたのでスムーズに説明を受けて苺が沢山顔を覗かせるビニールハウスへと案内される
他にもカップルや女性同士で参加しているお客さんが多い様で楽し気な会話が交わされ賑わいを見せていた
ハウス内は高設栽培なので採りやすく手渡されたパックに真っ赤に輝く大きな一粒を収穫する
「見てください!美味しそう!」
「………」
彼も見よう見まねで収穫し始める