第50章 居酒屋来店
そして彼より早く御手洗いを出て待ち伏せる
クロロさんからしてみれば私は非常に奇妙で不気味だろう
しかしそれだけヒソカさんと二人きりになるのは全力で回避したかった
案の定御手洗いから出て来たクロロさんはひきつった愛想笑いを浮かべている
「お待ちしておりました。帰りましょう」
「…………あぁ」
「…………なぁ沙夜子………もしかしてヒソカが苦手なのか……?」
2、3歩歩き出した時に少し後ろから声を掛けられる
振り返ると彼は先程迄の愛想笑いでは無く真剣な眼差しを向けていた
イルミさんの行動を説明しても良かったが私が話した事が露見すればイルミさんは良い気持ちでは無いだろう
だとするならば素直に彼の言葉に乗っかってしまった方が良いと判断した
「はい……実はそうです……」
本当は苦手でも何でも無い。幾ら変態で私に興味が有ると発言していたとしても戦闘能力の無い平凡な私何て直ぐに興味が失せるだろう
其れに原作やアニメで見ていた彼は異常ながらも常識がありどちらかと言えば常識が無く異質なのはイルミさんの方な気がする
耳にキスをされたのは不愉快だったが彼は十二分に魅力的だ
私は本心とは違う言葉を吐く後ろめたさに俯いていた
「まぁ………無理は無いな」
ポンと頭に暖かい感覚があり見上げるとクロロさんに頭を撫でられていた
「っ…!」
驚きで言葉を失う私に彼は困った様な笑みを浮かべ
「おいおい、警戒しないでくれよ。ただ、俺の出来る範囲であいつの事遠ざけてやるよ」