第50章 居酒屋来店
最初こそ大いに警戒していたのだがあまりにもフレンドリーに笑顔で話されると自分が酷く無愛想に感じて気が付けば酒の力も手伝って和気あいあいと会話を弾ませていた
恐るべし二人のコミュニケーション能力………
しかし、忘れた訳では無い
もうすっかり消えかかっているもののヒソカさんが不法侵入したあの晩イルミさんに耳を噛られた上にヒソカさんと二人きりになるなと注意されている
私はにこやかに会話を交わしつつもどうかクロロさんが席を立たぬ様に祈り続けていた
そもそもの話し、二人きりとはどういう定義なのだろう
クロロさんが席を立ったとしても飲食店である以上他の客や店員だって存在する訳で本当の意味で二人きりの空間では無い
……しかし逆の立場になって考えるならイルミさんが知らない異性と二人で外食している時点で其所に他の客が居ようが居まいが二人きりじゃないか!と感じる時点でやはりクロロさんに席を立たれるのは不味い事態だ
「どうした?突然考え込んで」
「あ!いえ、あはは」
不意に向かいから整った顔立ちに覗き込まれてぶっ倒れそうになる
「もしかして……イルミと何かあったのか?」
心配気に眉を下げたクロロさんに慌ててぶんぶんと首を横に振る
「違います違います!」
「彼……嫉妬深そうだし束縛されて困ってる……とか♦️」
「あー有り得る話しだなぁ」
「いえ、そんな束縛とか無いですよ!」
「本当か?何かあったら相談しろよ?」
ニヤニヤと笑顔を張り付けたヒソカさんと違い未だ心配気な視線を寄越すクロロさんに軽く頭を下げる