第50章 居酒屋来店
6月4日
遂に彼との生活が残り半年に迫った
私は確実に訪れる終わりを見据えて心臓が潰れる程の寂しさと喪失感を抱きながらも今を必死に生きていた
昨日晩に見たニュース番組で梅雨入り宣言があった様に今日は1日中雨が降り続いており
掛け持ちでアルバイトしている居酒屋への客足も疎らだ
湿気のせいで髪はうねり、鬱陶しい蒸し暑さに額を拭いつつ皿洗いを進めていると
聞き覚えのある声が飛び込んで来て店の出入口を見遣る
「此所に間違い無いのか?」
「間違い無いよ、ホラあそこ♥️」
「お、本当だ。おーい沙夜子!」
其所にはシックな佇まいで髪を下ろしたヒソカさんとシンプルな服に身を包んで元気良く此方に手を振るクロロさんの姿があった
「!!!!」
驚きの余り手が滑りガシャンと派手な音を立てて茶碗が割れる
「「失礼いたしましたー!」」
カウンター裏で頭を下げる
「すみません店長っ!」
「大丈夫やから気にせんとき!それより……知り合い?」
店長はチラリとカウンターに着いた二人に視線を向けてひそひそと会話する