第49章 おつかいでのヒトコマ
端から見れば無表情のままなのだろうが彼の心はちょっぴり沈んでいた
ふと見慣れない物が書かれている事に気付きゆっくりと読み直す
"ナプキン"
彼の頭に浮かんだのはレストラン等で常備されている口を拭う為の紙ナプキンだった
其れならばティッシュで事足りるのではないかと思うが自身の思考を遥かに超えて理解不能な行動をする彼女の事なので下らない事に使うのかもしれないと考えた
しかし店内を歩き回るも自身の思い描いた紙ナプキンは見当たらず店員に尋ねたがスーパーには無い様でドラッグストアーに有りますよ、と丁寧に伝えられた
自身に向けられる女性店員の表情は熱っぽく感じたが他人に何を思われ様と男には関係無く礼を伝える事無く会計を済ませて店を後にする
ドラッグストアーにて風邪薬をカゴヘ入れ問題のナプキンを探すと生理用品と書かれておりやっとどういう用途の物なのか理解する
そう言えば今朝彼女から血液の匂いが鼻を掠めた事を思い返す
知識としてはしっかり理解しているのだが自身とは全く持って縁も所縁も無い代物をどう選び抜くべきか男は大いに悩んだ